アトピー性皮膚炎を改善する特殊なシルクの下着

アトピー性皮膚炎を改善する特殊なシルクの下着


アトピー性皮膚炎ではしばしばかきむしった傷からの細菌感染症が問題になります。黄色ブドウ球菌などの皮膚の常在細菌がそこで繁殖して毒素を産生することでさらに炎症反応が強まったりするのですね。

このような状態の患者さんの皮膚ではとりあえず細菌感染症をどうにかしないとその先に治療が進められない場合もあります。

ゲンタシンなどの抗生剤でまずは治すのですが、アトピー性皮膚炎の湿疹そのものが治るのではなくて感染症を治すものです。かゆみや湿疹は、感染していない状態まで戻るだけです。



患者さんの中にはこれを出されてもちっとも良くならないと言ってやめて民間薬を使う人もいますが、誤解が不幸を生んでしまいます。

ステロイド恐怖症の患者さんなどはそれまで見たことのない薬が出された、ということでそれが噂に聞くとんでもなく強力なステロイド剤に違いないと思いこんで使わない例もあるようです。

脱線しました。ともかく、アトピー性皮膚炎の症状をひどくしたり遷延させる原因の一部に細菌感染症があるのはまちがいないことです。



さて、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚感染症が起こらないようにするためにはどうするのがよいでしょうか?かきむしって傷が広がらないようにすることがとても大事です。


掻かないということに関してまたちょっと脱線ですが、単純に傷がついてそこから感染することが危険なだけでなくて、かきむしることはそれ自体がアレルギー反応を加速することはいろいろな実験で示唆されています。

アトピー性皮膚炎を発症するマウスのつめを切ってやるとアトピー性皮膚炎の症状が軽快すると言う動物実験があります。また、小児アレルギー患者が爪先を覆うような手袋をして、皮膚炎部位には包帯を巻いて寝ると次第に軽快するということもよく知られた事実です。

考えてみればアレルギー反応のもととなっているTh2という免疫反応は本来、皮膚に食いついたダニなどを排除するための免疫機構であったと考えられていますから、ダニが食いついた部分を掻くことがその局所でTh2免疫反応を加速することは極めてリーズナブルなのですね。


もう一つの良い方法は、当然ながら細菌が活発になる環境を避ける、つまりは清潔を心がけることです。

ようやくタイトルの話につながるのですが(笑)、清潔なシルクの下着で患部をカバーすることが感染症を防いで、かゆみ症状も軽快させることがわかっています。

今回はそのシルク繊維に抗菌剤を練りこんだ場合に効果的かどうかを二重盲検法による試験(ダブルブラインドテスト)で検討した論文のご紹介です。



Dermatilogy(皮膚科学)の2008年 6月27日発行の 217(3): 191-195 に載っていたものです。

A Randomized Double-Blind Study to Investigate the Clinical Efficacy of Adding a Non-Migrating Antimicrobial to a Special Silk Fabric in the Treatment of Atopic Dermatitis

シルクの下着、ではなくてシルクニットのスリーブで検討されました。患者さんには4種類、4色のスリーブが渡されます。どれを使うかは患者さんが選択します。ですが、そのうち1枚だけには抗菌薬が練りこまれています。後の3枚は普通のシルクのニットです。どれに抗菌薬が練りこまれているのかは、医師にも教えられません。それが二重盲検試験ということです。


結果は明快で、どのスリーブを使っても、最初の2週間は症状はある程度軽快していますが、抗菌薬を練り混んだスリーブを使用した患者さんの場合には、最初の二週間の症状の改善も劇的であり、かつ、検査期間の4週間にわたって継続的に症状が良くなり続けていました。

このことから、抗菌薬入りのアトピー性皮膚炎患者さん用のシルクニットの下着がそのうちお目見えするかも知れません。



・・・とか言いながら実は出ているのではないかと調べてみたら、ヨモギ成分を配した赤ちゃん向けの抗菌肌着だとか、



冬場のアトピー性皮膚炎の人にはいいんじゃないかと思える、男性用の長袖抗菌下着などが出ていました。




女性用の抗菌下着は生理用のショーツなどたくさんありますよね。どれがなんだか私にはわからないので、いろんな下着に使えるスプレー剤など





ともかく、アトピー性皮膚炎の治療の一つの方向性として、かゆい所を掻かない、感染症が起こらないように清潔を保つ、それでいて保湿を保つという工夫は非常に大切な基本であると言えます。


posted by atopymouse at 10:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
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脱ステロイド療法


「脱ステロイド」の本来の意味とは、アトピー性皮膚炎の症状が改善傾向にないのに現在治療に使用中のステロイド外用剤を中止して、ステロイド外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする方法のことである(そのため、症状が改善してきたためステロイド外用剤を中止して経過をみるという行為は、「脱ステロイド」と称するのは不適切であろう)。
ステロイド外用剤は非常に高い有効性を持つ薬剤であるが、特に重症例では正しく医師の指導の下に使用していても十分に症状を抑えられない例や、長期の連用により皮膚萎縮、接触性皮膚炎、二次感染といった副作用をきたす例が存在する[18](ステロイド皮膚症の項参照)。 このような症例において副作用から脱却したり、ほかの治療法を模索するといった過程で脱ステロイド療法が行われることがあり、実際にそのようなケースに限ってはステロイド剤の中止が有効であったという報告もある。
しかし当然ながら、このような治療法に踏み切るためには、現在のステロイド外用剤による治療が効果をもたらしていないのかを慎重に判断する必要がある。

一方で「脱ステロイド」という言葉がアトピービジネスにおいて多々使用されることがある。その理由であるが、アトピービジネスは、他の科学根拠のない代替療法を勧めるため、「ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎を悪化させる」「ステロイド外用剤のリバウンドが続いている」「ステロイドを使用した年月に比例して治療に時間がかかる」「病変部から<毒>が排出されているので湿疹は好転反応である」などの独自理論を説明し、ステロイド剤に対して恐怖を煽り、ステロイド剤を中止させようとする場合が多いためである。
さらに自然主義的観点からプロトピックの使用も是としないことが多い(脱プロトピック)。当然これらの主張に医学的な根拠は無い。このような業者に脱ステロイド療法(およびそのビジネス独自の療法)を指示されて極端に悪化し、かゆみが強く夜も眠れないなど生活に支障をきたしたり、ひどい場合緊急入院という結果となる症例が多数発生し続けている。
少数ながら合併症による死亡例もある。また、アトピービジネスやマスコミによるステロイド剤の恐怖などの誇張した宣伝の結果、治療が難航している患者が自己判断で「脱ステロイド」を行い、症状が急激に悪化するという悲劇的な2次的被害もみられる。一時期、社会問題になったこともあった。

以上のように科学的根拠のないステロイド害悪論に基づいた「脱ステロイド」は危険であり、実施するに当たっては実際の病態がステロイドの副作用によってもたらされているのかを多数の医師とよく相談して判断した方が良い。その際、プロトピック軟膏やPUVA療法、シクロスポリンといった他の治療に切り替えながら様子をみることが多いので、それに関しても医師と十分に相談すべきである。

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