アトピー性皮膚炎でのプレバイオティクスとプロバイオティクスの効果について

アトピー性皮膚炎でのプレバイオティクスとプロバイオティクスの効果について

プレバイオティクスとかプロバイオティクスという言葉はご存知だろうか?

バイオティクスは微生物の事を指す。
人間の体にはものすごい数の細菌が共生している。
基本的には彼らは無害で、ときには非常に有益な存在である。
たとえば皮膚表面にしても消化管内にしても山ほどの細菌が存在しており
(便の20〜30%は細菌の死骸と考えても良い。)
そこの環境を適性に保っている。

彼ら無害な細菌や有益な細菌のことを常在細菌と呼ぶが、
彼らがいてくれることで有毒な最近が来ても死滅するような状態が保たれていることが多い。

腸管、皮膚ももちろんだが、わかりやすいのは女性の膣の中で
あそこにはデーデルライン桿菌という乳酸菌が棲んでいて膣の中の環境を強い酸性に保っている。
そのおかげで細菌感染から守られているわけだ。


さて、プレバイオティクスとかプロバイオティクスというのは
そういう常在細菌の状態をコントロールする食物などのことで、
プレバイオティクスといえば食物繊維とかオリゴ糖とかの食べ物を由来とする成分で、
腸管(主に大腸)で作用することで腸管内に住む微生物のバランスを整えるものだ。 

プロバイオティクスは生きた菌そのもののことで、乳製品などに含まれるビフィズス菌や乳酸菌、
あるいはそれらを含む食品そのものの事を指す。

ちなみにシンバイオティクスとはそれら二つを併せ持つもので、
オリゴ糖+ビフィズス菌みたいなものである。


さて、ようやく本題。(笑)
以下の論文に付いてである。

J Pediatr (Rio J). 2006 November/December;82(5 Suppl):S189-S197.
The role of probiotics and prebiotics in pediatric practice.

最近10年間でこのプレバイオティクスとかプロバイオティクスという分野に関して科学的な研究がかなり進んできた。
小児科領域において実際にプレバイオティクスやプロバイオティクスを実用した場合の成果であるが、

確かにこれらの製品は腸内環境を改善することがわかった。
すなわち、これらの細菌による発酵の結果として、腸内のpHを低下させ、
腸内のみならず全身における炎症反応を制御することができるというのである。

臨床投与実験と報告の統合的解析(メタアナリシス)によれば
急性の下痢や抗生物質で引き起こされる下痢の発症予防と罹患期間の短縮にプロバイオティクスは有効であった。
しかしながら、コストパフォーマンスなどのそれらの効果に関してきちんと調べたものはない。

予備的な実験で興味深かったのはアトピー性皮膚炎発症とこれらのプロバイオティクスとの関係である。
プレバイオティクスをミルクや離乳食に加えた場合、腸管の常在細菌のバランスが変わることが確認された。
さらに、プレバイオティクスを与えずにミルクだけで育てた場合に比べて、
その集団でのアトピー性皮膚炎の発症率は低かったということである。


アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が先進諸国の問題であること、
綺麗過ぎる衛生環境と寄生虫の排除が免疫の暴走を生んで
アレルギー発症につながっている可能性が高いことなどから、
乳幼児期の様々な細菌感染や寄生虫による攻撃が
本来の人間の免疫機構をきちんと働かせるために必要であることが言われている。

とは言うものの、細菌感染はときとして死に至ることもあり、もろ手を挙げて受け入れるものではない。
ここでプレ、あるいはプロバイオティクスがその役割の一端を担うことが出来るのであれば
(メカニズムは同じかどうかわからないが)
安全な細菌との共生ということで、もっと幅広く取り入れられてもよい予防方法かもしれない。

たとえばアトピー性皮膚炎を発症するマウスにプレバイオティクスを摂取させて
その症状発現コントロールを分子レベル、細胞レベルで観察するという研究もどんどんなされるべきであろう。
posted by atopymouse at 17:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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脱ステロイド療法


「脱ステロイド」の本来の意味とは、アトピー性皮膚炎の症状が改善傾向にないのに現在治療に使用中のステロイド外用剤を中止して、ステロイド外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする方法のことである(そのため、症状が改善してきたためステロイド外用剤を中止して経過をみるという行為は、「脱ステロイド」と称するのは不適切であろう)。
ステロイド外用剤は非常に高い有効性を持つ薬剤であるが、特に重症例では正しく医師の指導の下に使用していても十分に症状を抑えられない例や、長期の連用により皮膚萎縮、接触性皮膚炎、二次感染といった副作用をきたす例が存在する[18](ステロイド皮膚症の項参照)。 このような症例において副作用から脱却したり、ほかの治療法を模索するといった過程で脱ステロイド療法が行われることがあり、実際にそのようなケースに限ってはステロイド剤の中止が有効であったという報告もある。
しかし当然ながら、このような治療法に踏み切るためには、現在のステロイド外用剤による治療が効果をもたらしていないのかを慎重に判断する必要がある。

一方で「脱ステロイド」という言葉がアトピービジネスにおいて多々使用されることがある。その理由であるが、アトピービジネスは、他の科学根拠のない代替療法を勧めるため、「ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎を悪化させる」「ステロイド外用剤のリバウンドが続いている」「ステロイドを使用した年月に比例して治療に時間がかかる」「病変部から<毒>が排出されているので湿疹は好転反応である」などの独自理論を説明し、ステロイド剤に対して恐怖を煽り、ステロイド剤を中止させようとする場合が多いためである。
さらに自然主義的観点からプロトピックの使用も是としないことが多い(脱プロトピック)。当然これらの主張に医学的な根拠は無い。このような業者に脱ステロイド療法(およびそのビジネス独自の療法)を指示されて極端に悪化し、かゆみが強く夜も眠れないなど生活に支障をきたしたり、ひどい場合緊急入院という結果となる症例が多数発生し続けている。
少数ながら合併症による死亡例もある。また、アトピービジネスやマスコミによるステロイド剤の恐怖などの誇張した宣伝の結果、治療が難航している患者が自己判断で「脱ステロイド」を行い、症状が急激に悪化するという悲劇的な2次的被害もみられる。一時期、社会問題になったこともあった。

以上のように科学的根拠のないステロイド害悪論に基づいた「脱ステロイド」は危険であり、実施するに当たっては実際の病態がステロイドの副作用によってもたらされているのかを多数の医師とよく相談して判断した方が良い。その際、プロトピック軟膏やPUVA療法、シクロスポリンといった他の治療に切り替えながら様子をみることが多いので、それに関しても医師と十分に相談すべきである。

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