スキンバリアがアトピー性皮膚炎の症状の強弱に関連する

スキンバリアがアトピー性皮膚炎の発症に関連することに関して

スキンバリアの破たんがアトピー性皮膚炎を誘発することは昔から指摘されていた。中でもフィラグリン(Filaggrin)の発現不全がアトピー性皮膚炎の発症しやすさと関連するということは1980年代から指摘されていたが、実際にその遺伝子変異とアトピー性皮膚炎との関連性が遺伝子解読によって確認されたのは2006年3月のことである。

似たような遺伝子配列の繰り返しを持つ巨大な分子であるFilaggrinは遺伝子配列を読み取ることが難しかったためにそれだけ遅くなってしまった。

一方で、Filaggrinなどの分子はさておいて皮膚バリア機能の個人差について、いくつかの数値の計測による比較での相対あるいは絶対数値化が試みられていた。なかでも経皮水分蒸散量(Trans-Epidermal Water Loss; TEWL)は比較的計測しやすいことと、コントロールが取りやすいことから、性別、年齢、人種差、基礎疾患、生活状態などの様々な条件を超えて、皮膚バリア機能の評価の方法として用いられているものである。

皮膚に直接押し当てて水分量を計測するだけのものであるから、痛くもないし面倒くさくもない。ただ、精密な計測装置はパソコンとセットで100万円を超えてしまうところがネックである。家庭に常備できる代物ではない。簡易TEWL計測装置なら10万円もしなかったと思うが。

TEWLを測るこの計測装置とても実は万能ではなくて、計測する場所や気温、湿度などによって大きくその答えが変動してしまうのだが、現在客観的に計測できる皮膚バリア機能比較評価数値として世界中で用いられている。最近ではお笑い番組の小ネタでも用いられているのを見て(芸人の頬のTEWLを比較して年齢を揶揄するもの)、ちょっと驚いたことがある。それほどポピュラーになりつつある。


最近の論文で、アメリカの子供たちでアトピー性皮膚炎のあるなしで、病気ではない場所でのTEWLの比較をして、これがアトピー性皮膚炎の発症や重症度、あるいはほかのアレルギー性疾患に関連性があるのかどうかについて大規模な比較検討試験がなされた。以下にその論文の要約部分を掲載する。


JAllergy Clin Immunol. 2008年の2月2日、オンライン版要約
アトピーの子供の本質的に欠陥がある皮膚バリア機能は病気の厳しさと互いに関連します。

Division of Epidemiology and Biostatistics, Department of Environmental Health, University of Cincinnati College of Medicine, Cincinnati, Ohio; Institute of Personalized and Predictive Medicine, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, and the Department of Pediatrics, University of Cincinnati College of Medicine, Cincinnati, Ohio.

バックグラウンド: 皮膚バリア機能における基本的な欠陥がアトピー(AD)の病気の発生に寄与するということが最近の遺伝子研究により証拠があげられています。 表皮水分蒸散量(TEWL)を測定することによって、皮膚バリア機能の保全を客観的に評価することができます。 皮膚バリア機能の生体標識としてのTEWLの調査はサンプルとした人口が少ないものしかありませんでした、そして、アフリカ系アメリカ人の対象を含む研究が欠けていました。

目的: 私たちは、ADをもっている子供について調査する目的でそれでADなしあるいはADを持つアフリカ系アメリカ人の、そして、白人の子供の皮膚バリア機能の基準としてTEWLを比較することによって生まれつき変異のある皮膚バリアの機能評価をしてこれがADに関係するかどうかを決定しようとしました。

方法: TEWLは(1) 子供で4つのサイトのAD病変を伴わない通常の露出部の皮膚 (手のひらの前腕、背部の腕、下側の脚、およびほお)の上でAD(症例)、喘息かアレルギー性鼻炎にもかかわらず、AD(アレルギー体質の子供のコントロール)のない(2)子供、および(3)アレルギー病歴の一切ない子どもで測定されました。 ADの厳しさは、客観的なSCORADインデックスを使用することによって、評価されました。

結果: 両方の制御集団で見られるそれとテストされた解剖のサイト(P<.05)の大部分で比べて、TEWLはADの子供で増加しました。また、TEWLが客観的なSCORADスコアアレルギーの増感の存在と互いに関連したか、または他のアレルギーの状態はADの子供のTEWLに影響しませんでした。TEWLはアフリカ系アメリカ人の子供より白人で高かったです

CONCLUSION; TEWLによって評価される皮膚バリア機能は、ADの子供で本質的に病気の発症に影響しますが、他のアレルギーの状態をもっている子供で影響するというわけではありません。皮膚バリア機能不全の大きさはADの病気の厳しさと互いに関連します;



ということで、TEWLを計測することでわかるのはとりあえずはアトピー性皮膚炎が重症化しやすいかどうかということになる。

何だそんなこと、と思うかもしれないけれどもこれはこれで大事で、なぜならばこの数値の差を比較することでステロイドの投与量を加減したり、離脱するときのスケジュールを個人個人で変えることができるからである。

医療側だって悪人だの金儲けだの言われてまでステロイド薬は使いたくない。それでも激しい炎症が起こっている患者にはこれを使ってともかく炎症を抑え込み、そこからゆっくりとステロイド以外の方法での症状改善に持ち込みたい。それが患者にとって最善の治療法だと思えるからだ。

この時にステロイドからの離脱であるが、簡単に予定通りに進む子供と、なかなか離脱できない子どもと個人差は極めて大きい。これまでは薬の量を加減しながら手探りで行うしかなかったけれども、もしもTEWL測定のような簡単な痛くない検査で子供の体質がある程度読めれば、重症化しやすい子どものステロイド離脱は慎重にゆっくりと、そうでない子どもはもっとさくさくと進めても問題ない、そういう選別した治療方法が選べるはずである。


ということで、地味だけれども個の医療に向けて価値のある研究だと思われる。
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アトピー性皮膚炎を改善する特殊なシルクの下着

アトピー性皮膚炎を改善する特殊なシルクの下着


アトピー性皮膚炎ではしばしばかきむしった傷からの細菌感染症が問題になります。黄色ブドウ球菌などの皮膚の常在細菌がそこで繁殖して毒素を産生することでさらに炎症反応が強まったりするのですね。

このような状態の患者さんの皮膚ではとりあえず細菌感染症をどうにかしないとその先に治療が進められない場合もあります。

ゲンタシンなどの抗生剤でまずは治すのですが、アトピー性皮膚炎の湿疹そのものが治るのではなくて感染症を治すものです。かゆみや湿疹は、感染していない状態まで戻るだけです。



患者さんの中にはこれを出されてもちっとも良くならないと言ってやめて民間薬を使う人もいますが、誤解が不幸を生んでしまいます。

ステロイド恐怖症の患者さんなどはそれまで見たことのない薬が出された、ということでそれが噂に聞くとんでもなく強力なステロイド剤に違いないと思いこんで使わない例もあるようです。

脱線しました。ともかく、アトピー性皮膚炎の症状をひどくしたり遷延させる原因の一部に細菌感染症があるのはまちがいないことです。



さて、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚感染症が起こらないようにするためにはどうするのがよいでしょうか?かきむしって傷が広がらないようにすることがとても大事です。


掻かないということに関してまたちょっと脱線ですが、単純に傷がついてそこから感染することが危険なだけでなくて、かきむしることはそれ自体がアレルギー反応を加速することはいろいろな実験で示唆されています。

アトピー性皮膚炎を発症するマウスのつめを切ってやるとアトピー性皮膚炎の症状が軽快すると言う動物実験があります。また、小児アレルギー患者が爪先を覆うような手袋をして、皮膚炎部位には包帯を巻いて寝ると次第に軽快するということもよく知られた事実です。

考えてみればアレルギー反応のもととなっているTh2という免疫反応は本来、皮膚に食いついたダニなどを排除するための免疫機構であったと考えられていますから、ダニが食いついた部分を掻くことがその局所でTh2免疫反応を加速することは極めてリーズナブルなのですね。


もう一つの良い方法は、当然ながら細菌が活発になる環境を避ける、つまりは清潔を心がけることです。

ようやくタイトルの話につながるのですが(笑)、清潔なシルクの下着で患部をカバーすることが感染症を防いで、かゆみ症状も軽快させることがわかっています。

今回はそのシルク繊維に抗菌剤を練りこんだ場合に効果的かどうかを二重盲検法による試験(ダブルブラインドテスト)で検討した論文のご紹介です。



Dermatilogy(皮膚科学)の2008年 6月27日発行の 217(3): 191-195 に載っていたものです。

A Randomized Double-Blind Study to Investigate the Clinical Efficacy of Adding a Non-Migrating Antimicrobial to a Special Silk Fabric in the Treatment of Atopic Dermatitis

シルクの下着、ではなくてシルクニットのスリーブで検討されました。患者さんには4種類、4色のスリーブが渡されます。どれを使うかは患者さんが選択します。ですが、そのうち1枚だけには抗菌薬が練りこまれています。後の3枚は普通のシルクのニットです。どれに抗菌薬が練りこまれているのかは、医師にも教えられません。それが二重盲検試験ということです。


結果は明快で、どのスリーブを使っても、最初の2週間は症状はある程度軽快していますが、抗菌薬を練り混んだスリーブを使用した患者さんの場合には、最初の二週間の症状の改善も劇的であり、かつ、検査期間の4週間にわたって継続的に症状が良くなり続けていました。

このことから、抗菌薬入りのアトピー性皮膚炎患者さん用のシルクニットの下着がそのうちお目見えするかも知れません。



・・・とか言いながら実は出ているのではないかと調べてみたら、ヨモギ成分を配した赤ちゃん向けの抗菌肌着だとか、



冬場のアトピー性皮膚炎の人にはいいんじゃないかと思える、男性用の長袖抗菌下着などが出ていました。




女性用の抗菌下着は生理用のショーツなどたくさんありますよね。どれがなんだか私にはわからないので、いろんな下着に使えるスプレー剤など





ともかく、アトピー性皮膚炎の治療の一つの方向性として、かゆい所を掻かない、感染症が起こらないように清潔を保つ、それでいて保湿を保つという工夫は非常に大切な基本であると言えます。


posted by atopymouse at 10:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

カビとアトピー性皮膚炎

カビ(イースト)がアトピー性皮膚炎の症状悪化に関係するかもしれない。

アトピー性皮膚炎の患者さんでは、皮膚バリアが壊れていたり、かきむしったりで、皮膚表面が細菌が住みつきやすい状態になっていることはよく知られています。
中でも黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚にたくさん生息していて、悪さをしているというのでも有名です。

ここでは細菌感染だけではなくて、カビの感染、あるいは常在もアトピー性皮膚炎の症状になんだか悪影響を及ぼしているらしいということの研究について載せてみます。





Chem Immunol Allergy. 2006;91:98-109.

アトピー性湿疹(皮膚炎)におけるMalassezia sympodialis感作の役割。
Schmid-Grendelmeier P、Scheynius A、Crameri R。

スイスアレルギーユニット、皮膚科学、大学病院、チューリッヒ

アトピー性湿疹(AE)は子供の10-20%と大人達の1-3%に発症する世界中でよくみられる、皮膚の慢性あるいは再発しやすい非常に痒い炎症です。

Malassezia sympodialisは大部分のAE患者と健常人の両方の皮膚に常在するイーストであると報告されました。 AE患者のおよそ50%は、即時型の皮膚反応をこのイーストに対して示すか、またはM.sympodialisに特異的な血清IgEを持ちます。 イーストへの感作(アレルギー反応を示すこと)はAE患者に専ら起こります。

この特定の感作の主因はアレルゲン侵入を容易にする患者で傷んでいる皮膚バリア機能であるかもしれません。 今までのところ、Malassezia特異的な抗原として13のアレルゲンが同定され、生産されて、分析されて、生体外(in vitro)でも生体内(in vivo)でも一部研究されてます。

分子進化的観点からみると、一部のアレルゲンはマンガンスーパーオキシド・ジスムターゼなどの構造を保存していますので、類似している分子と交叉反応するかのうせいがあり、その結果、構造的に関係づけられた人間のタンパク質に対して反応している可能性があります。これはアレルゲンとしてAE患者の一部である役割を果たして、扇動的に皮膚炎症反応の永続化に貢献するかもしれません。

組換え型のMalasseziaアレルゲンの実験研究での利用は、AEの感作発生、IgEと調停されたT細胞の免疫応答を治める基本的な免疫的機序のおパスウェイを解明するために貢献して、AEのMalassezia関連の症状を軽減するために新しい治療法のオプションを提供するかもしれません。



もともとカビは様々なアレルギー性疾患の原因となるアレルゲンになりうることはよく知られています。例えばそのもっとも有名なものは過敏性肺炎です。

過敏性肺炎とはさまざまな種類の粉塵が原因となって、肺でそれに対するアレルギー反応によってアレルギー性炎症がおこったものを指します。
この場合のアレルゲンで多いのは微生物やタンパク質などの有機物の粉塵が多くなります。当然ながら細菌とカビはその最たるものです。(もちろんそのほかに化学物質によっても過敏性肺炎が発症しますけど)。
古いビルなどの汚れた加湿器や空調装置(特にオフィスビルなどの大型装置)で抗原が循環することによって起こる空調肺と呼ばれる過敏性肺炎があります。
また、おもしろいことに部屋の家具や窓の配置によって家具の下や裏側にカビが発生しやすい、発生しにくいの差があり、
「風水占いに従って家具の配置換えをしたらしつこい咳がよくなった、さすが風水は効き目がある。」
なんてケースは、実はカビが発生しなくなって過敏性肺炎がよくなったのが実際という場合があります。

しかしカビを吸い込んだ人が必ず過敏性肺炎になるかというとそうではありません。
メカニズムについてはいくつか言われていますが、大量のアレルゲンに継続的にさらされ続けることが原因の一つと言えるようです。それで肺の免疫反応が過剰に起こり、炎症が続く不可逆的な変化により更にアレルゲンが入り込み、荒れるギア反応の完成に至るというわけです。
で、これが少量のアレルゲンに暴露されても起こるであろう人は、もともと肺の免疫反応が非常に亢進している人、あるいは肺の気道粘膜からアレルゲンが入りやすい遺伝的素因を持っている人などであると考えられていました。


今回の論文でカビがアトピー性皮膚炎の症状を増悪する理由として、皮膚のバリア機能が弱まっているのでカビアレルゲンが入りやすいからだというところ、これは過敏性肺炎の考え方と合致していますね。

今回の論文でさらに面白いことは、カビのアレルゲンの分子構造がヒトの生体の中のいくつかのたんぱく質の分子構造と似ているということです。この場合、交差と言いますが、カビに対して出来上がったアレルギー反応が自分の体の組織に対して反応し続けるという可能性があります。
一種の自己免疫病になってしまう可能性ですね。これは過敏性肺炎でもいくつか言われていることのようですが、これらのことがアレルギー性疾患の症状進行を複雑化して、治療をめんどくさくしているのです。

幸い、この論文で13のカビのアレルゲンが同定されました。これらが実際に免疫細胞にどんなことを引き起こすのか、さらに交差性によってどんな分子に対して自己免疫反応を生み出すのか、その場合どんなことが起こるのか。
動物や細胞を使ってそれを研究すれば、そのメカニズムがわかるでしょう。わかってくればそこを阻害したり抑制したりする方法を開発すればいいのです。それが治療法につながります。

今回の論文の意義はそういうものでした。
posted by atopymouse at 18:32 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは

 アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することの多い強いかゆみを伴う反復する湿疹です。かさかさしたものからジュクジュクしたものまで、症状は様々ですが、強いかゆみから絶えず引っ掻くことで傷から体液が染み出てジュクジュクするのもありますし、傷から細菌感染が起こる、そうするとさらにジュクジュクすることが多いです。掻くのを我慢できていればかさかさどまりです。

 一般的には乳幼児期に始まることが多く、成長とともに患者数が減っていき、高校を卒業するぐらいになると自然に症状が消える人も少なくありません。
残念ながらずっとよくならないという人もいますし、逆に、青年期になってから発症する人も人もまれにいます。基本的にはよくなったり、悪くなったりをくり返しながら長期間続く皮膚炎です。


原因には体質的なものと環境的なものとが絡んでいると考えられています。

環境的なものが絡んでいると思われる理由は、先進諸国に特徴的な病気だからです。

たとえば香港では高率に発症して問題になっていますが、すぐそばの中国の杭州あたりでは患者数は激減します。密閉した都市型の家で、汚いものに触れることなく消毒されて育った子供に発症する傾向が強いのは良く知られたことです。

たとえば先進諸国においても長男長女、第一子と第二子以降では発症率に差がありますし、上の子が男か女かでも第二子の発症率に差があります。
そうです、上の子がやんちゃなお兄ちゃんで泥だらけホコリだらけの場合、下の子のアトピー発症率は低いのですが、上の子がきれいきれいにおとなしい女の子の場合、下の子のアトピー発症率は高くなるそうです。

 つまり、泥まみれで育つのが人間の本来育った環境であるのに対し、ここ数十年で衛生的な環境があまりにも浸透したために、汚いものに対抗するために構えていた免疫系が空振りし、たいした問題ではない花粉やダニ、食物などに対して過剰反応を示すのがアレルギーの本質であると考えられています。

アトピー性皮膚炎もそういう理由で先進国の環境で誘発されると考えられるのです。


では、体質的なものはどうなのでしょうか?

 同じ家で同じように育った兄妹であっても、妹は高校に入学したころから良くなり、兄は高校を出ても治らず、次第に引きこもる。そんなケースはままあります。ここには何らかの遺伝因子がそれも複数絡んでいるとしか思えません。
 兄には不幸にして年齢を経ても治りにくい体質が複数の遺伝子変異として組み合わさってしまった。しかし妹の遺伝子にある変異は兄の半分で、そのおかげで思春期を過ぎて大人の皮膚に変わったことで症状が改善した。そういうことが考えられます。


 このブログでは幅広くアトピー性皮膚炎の原因に関する文献について情報をまとめ、意見を書いて行きますが、基本的には私個人のメモのようなものです。ですから文献の内容に対する批判や推測も多々混じります。
あまり書いてあることを鵜呑みにしないでくださいね。


それでもコメントで質問していただければ、医学研究者の端くれとして、出来る範囲で回答させていただきます。
ただし、あくまでも匿名の質疑応答ですから責任を追求するのは避けていただきたいのですが、私なりに真摯に答えさせていただきます。

どうぞよろしくお願いします。


Googleの広告貼ってるのはご愛嬌ということでお許しください。(笑)
自分のここではクリックしませんが、掲示された広告のタイトルを見て検索して、一般的にこの病気がどのように捉えられているのか、患者さんは何を一番望んでいるのか、そういったことをを探るのも目的のうちなのです。

ま、弁解してもいっしょか(笑)。
posted by atopymouse at 21:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎症状も示す難病の原因遺伝子判明!

アトピー性皮膚炎症状も示す難病の原因遺伝子判明!

アトピー性皮膚炎の一部の原因に関係するかもしれませんね。
大多数のアトピー性皮膚炎症例には直接は関係しないかもしれませんが
STAT3という遺伝子が高IgE症候群の原因遺伝子とわかりました。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070806-00000013-jij-soci

免疫難病の原因遺伝子発見=重症アトピー治療に応用期待−東京医科歯科大など

8月6日2時34分配信 時事通信

 重いアトピー性皮膚炎を伴う免疫不全症「高IgE症候群」の原因とみられる遺伝子を、東京医科歯科大の峯岸克行准教授らの研究グループが突き止め、5日付の英科学誌ネイチャーオンライン版に発表した。同症候群の遺伝子治療の可能性や、アトピー性皮膚炎の新治療法開発への応用に期待が掛かる。
 同症候群は、アレルギー反応を起こすIgE抗体の値が異常に高く、重いアレルギー症状と、免疫不全による肺炎などを同時に起こす難病。長い間原因は分かっていなかった。 

最終更新:8月6日2時34分
時事通信


この高IgE症候群というのは免疫不全や骨格異常を呈する先天疾患で、
特徴的な症候としてアレルギーの病態に深くかかわる抗体IgEの産生が
亢進してしまうということがあげられる先天性の病気です。

一方、STAT3という遺伝子はサイトカインシグナルを伝える分子です。
サイトカインというのは
リンパ球などの免疫細胞が機能するのに使われる分泌因子で、
IgE産生にかかわるものや関係ないものなど、何十種類も存在します。

マウスの遺伝子操作である遺伝子を欠損させることを
ジーンターゲッティング、操作されたマウスをノックアウトマウスといいます。
この操作でSTAT3をつぶされたマウスは死んでしまい、育ちません。
人間ではSTAT3欠損の患者さんは見つかっていません。

今回見つかったSTAT3の異常はドミナントネガティブと言われる変異です。
STAT3は二量体と言われる、分子が二つくっついた構造をとりますが、
このとき、片方が変てこだと二量体としての機能も落ちます。
こういう作用を示す変異をドミナントネガティブと言います。

今回見つかった患者さんの異常はSTAT3のドミネガで、
これにより、STAT3の機能が1/4に落ちてしまっています。
(なぜ半分ではなくて1/4なのかはわかりますね?)

これにより、IL-6、IL-10などの信号伝達が
うまく機能しないことが試験管内の反応で示されています。
ほかにも免疫機能の維持に重要なIL-22の信号なども
患者さんでは問題が起こっているのではないかと
推測されています。


さて、今回の発見ですが、
変異がSTAT3の点突然変異であったことは意外といえば意外、
サイトカインシグナルがかかわるから当たり前といえば当たり前です。

ただ、ノックアウトマウスから導き出されたSTAT3の機能解析では、
今回の発見には至りませんでした。
その点ではこの論文は大いに評価されてしかるべきですし、
そしてこの発見が高IgE症候群の患者さんの早期診断と、
そして治療方法開発に貢献するであろうことはまちがいありません。

この研究が発展していくと、
IgEに関連したアレルギー疾患の問題点がどこにあるのか
それも分子レベルで明らかにされていくと思われるので
これもとても良いことです。



posted by atopymouse at 13:01 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

アトピー体質に関連すると言われている遺伝子 セレクチン

アトピー体質に関連すると言われている遺伝子 セレクチン


セレクチンselectinは血液細胞とほかの細胞(血液細胞含む)の
細胞同士の接着に必要な分子です。

セレクチン分子には何種類かあるのですが、
このなかでもアトピーに関係すると言われているのは
P-selectinと呼ばれるものです。

別名は他にもいくつかあって、
PLATELET ALPHA-GRANULE MEMBRANE PROTEIN
とか、CD62、あるいはGRMPやGMP140と呼ばれています。


それだけたくさんの人に発見されたということで、
重要な分子であるということも言えます。
これと結合するリガンドはPSGL1とCD24が報告されています。

組織で炎症がおこるとその場所に白血球が向かいます。
セレクチンはそれらの白血球が血管からその場所に出ていくときに
最初に必要な分子です。

ですから、これらの分子が欠損すると炎症の起こった場所への
白血球の移動が遅れてしまい、感染に対応できなったりします。

ただし、P-selectinの場合、発現の中心は
血小板の前駆細胞の巨核球や血小板ですから、
人間では出血傾向を示すなどの病態がおもになります。

また、血小板の凝集などに関係するので、
血管が詰まる病気である心筋梗塞や
動脈硬化症といったものとの関係は当然、言われていますし、
それを示唆する一塩基多型も言われています。


おもしろいのは、アトピー体質とも関係することです。
あくまでも統計学的な調査であって(3.Bourgain, C.)、
今のところ理由、理論づけた説明がないのですが、
(というかこの論文読んでも私にはわかりません。TーT)

P-selectinの640番目のアミノ酸変異が
アトピー集団で高率で起こるようです。


・・・・なんでだろう???続きを読む
posted by atopymouse at 17:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎の症状に関わる抗体IgEからの信号伝達が強く入る遺伝子変異

アトピー性皮膚炎の症状に関わる抗体IgEからの信号伝達が強く入る遺伝子変異についてです。


アトピー性皮膚炎では、何度も書いていますが
IgEという抗体の血清中の濃度が上がっていることが
診断基準の一つですし、実際に悪さもしています。

アレルゲン特異的なIgEが肥満細胞にくっついていて、
アレルゲンが入ってきたときに肥満細胞がかゆみ物質を出します。

これは本来寄生虫対策で、
寄生虫が食いついたらかゆみ物質を出すことで、
体がそれを排除する(痒いところを掻く)ことができるわけです。

ところが、アトピー性皮膚炎の場合は寄生虫なんていません。
ただのハウスダストだったり、食べ物カスだったり、花粉だったり。
そういうものが寄生虫と勘違いされて攻撃されます。


その攻撃の大事な道具であるIgEは
肥満細胞のIgE受容体という部分にくっついて、
そこから信号を伝えることで肥満細胞を活性化します。

そすすると、もしもその信号伝達部分に異常があって、
信号が強く入るようになっていたとすればどうでしょうか?

少ないアレルゲン刺激で、
少ない血清IgEの量であっても、
肥満細胞の反応だけが亢進していたとしたら・・・?



IgEの反応性が亢進している、というよりも、
アトピーになりやすい群というのが調査された結果
MS4A2という遺伝子がその群に関係することがわかりました。

この遺伝子、肥満細胞の表面にあって、
実はIgE受容体を構成する分子の一つだったのです。

IgE受容体は一つのα鎖、一つのβ鎖、そして二つのγ鎖で構成されます。
α鎖とβ鎖は肥満細胞と好塩基球の表面にしか発現しませんが、
γ鎖はマクロファージ、NK細胞、T細胞にも発現しています。

と、当初は言われていましたが、
人間の場合、β鎖だけが肥満細胞や好塩基球特異的で、
α鎖はγ鎖とともにランゲルハンス細胞、樹状細胞や単球という
抗原提示細胞にも出ています。

ですから、β鎖こそがアレルギーに関係する細胞に特異的に
発現するIgE受容体だったのですね。
このIgE受容体β鎖の遺伝子がMS4A2という遺伝子だったのです。



さて、このIgE受容体β鎖のどのような変異が
どのようなアトピー疾患と関係するのでしょうか?
(この場合、アトピー疾患には喘息なども含まれます。
 いわゆるアトピー体質と言われる
 IgE高値でアレルギー疾患を発症する患者の疾患ですね。)

181番目のロイシンがイソロイシンに変化した場合アトピーになりやすい

237番目のグルタミン酸がグリシンに変わった場合、喘息になりやすい
(これはITAMという活性化ドメインのそばの変化で、
 これがある人はアレルゲンへの反応も強いそうです。)

プロモーター領域(遺伝子発現を決める領域)の変異がアトピーと関連する

などがあげられます。
なかでも237番目がグリシンになる変異は
オーストラリア人でも日本人でも関係性が強く認められていて、

オーストラリア人では5.3%の人がこれを持っているとか。

日本人では子供の喘息や血清IgE上昇に関係するとか。


アトピー性疾患発症の体質に絡む遺伝子としては
かなり重要な遺伝子であると言えるでしょう。


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posted by atopymouse at 16:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎に関わる抗体IgEを上昇させる遺伝上の問題:IL21R

アトピー性皮膚炎に関わる抗体IgEを上昇させる遺伝上の問題について
今回はIL21Rについてです。

アトピー性皮膚炎の診断基準の一つでもある血清IgEの上昇ですが、
ここと絡む遺伝子の一つとしてIL21Rも報告されました。
この変異ではIL21Rのある機能が落ちることでIgEが高くなるというのです。

どういうことでしょうか?

IL21R遺伝子はインターロイキン21の受容体で、
リガンドであるIL21をく都合させる能力はあるものの、
これ自体は細胞内への信号伝達能力は持っていません。

ボタンを押せるけどそれだけでは電気はつかない、ということですね。

実際の信号伝達にはこれと一緒にくっつく
IL2Rγという受容体が必要です。
ここからJAK1、JAK3、STAT1、STAT3といった
細胞内信号伝達分子を介して信号が伝わります。

IL-21のこの信号伝達経路はIgEの産生を誘導することが分かっています。ただしそれはCD40という分子を刺激して、かつ、IL-4が存在した場合に限ります。
CD40への刺激が入らない場合、IL-21Rからの刺激は、逆にIFNγという、アレルギーとは反対側に免疫系を持っていく物質を産生して、IL-4の機能を抑え、IgE産生をストップします。

この、IFNγを産生する機能が落ちているIL21Rを持つ人が、
IgEの高いアトピー性疾患になりやすいというわけです。

ブレーキをかけるべき時(CD40への刺激が入らないとき)に、
ブレーキになるIFNγの産生能力が低い遺伝子変異。

これによってIgEが過剰産生されてしまうわけですね。


非常にややこしい話で分かりにくかったかもしれませんが、
免疫系を支える分子には様々なものがあり、
それぞれが様々な機能をもち、
それが様々な分子の働きと密接に絡み合っている。

だから、それらの機能のある部分が損ねられると
ハーモニーが崩れ、アレルギーなどが起こってくる。

しかしその解析はとても簡単には行えない。
その辺のことがわかっていただければ嬉しいです。

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アトピー性皮膚炎に関わる抗体IgEを上昇させる遺伝上の問題:PHF11

アトピー性皮膚炎に関わる抗体IgEを上昇させる遺伝上の問題について
ここで少しだけまとめてみましょう。

IgEは抗体の一種で、その中でもアトピー性皮膚炎などの
アレルギー疾患で病態に深くかかわる因子であることがわかっています。

たとえばアレルゲン感受性検査というのは
ある物質に対する特異的な抗体ができてるかどうかを調べる検査ですが、
そこで調べるのがIgEというわけです。

このIgEが生まれつき高い人などは
アレルギー疾患を起こしやすいということですね。
この中で、患者さんの数は少ないのですが有名なものに、
高IgE症候群というのがあって、何種類か知られています。

それはさておき、IgEの上昇にかかわる遺伝子についての情報です。

いくつかの文献からですが、まず一つ目は
PHH11という遺伝子です。

この遺伝子によって作られるたんぱくは
zinc-fingerモチーフというDNA結合能力を持つ分子で、
ほとんどすべての細胞に存在していますが、

スプライシングという遺伝子部分同士のつながり方の違いで、
何種類かの形が存在します。

この中の一部の形は呼吸器や免疫細胞にだけ発現しています。


PHF11の発見とは独立の研究で、
このPHF11が存在する場所にアトピーやぜんそく、
IgEが高いという症状がリンクすることが分かってきました。

そこで詳しく検討されたところ、
PHF11の遺伝子の少しの違いが
どうやらIgEが高くなることに結びつきそうだと
推測されるに至っています。


1. Anderson, G. G.; Leaves, N. I.; Bhattacharyya, S.; Zhang, Y.; Walshe, V.; Broxholme, J.; Abecasis, G.; Levy, E.; Zimmer, M.; Cox, R.; Cookson, W. O. C. M. :
Positive association to IgE levels and a physical map of the 13q14 atopy locus. Europ. J. Hum. Genet. 10: 266-270, 2002.
PubMed ID : 12032735

2. Scanlan, M. J.; Gordan, J. D.; Williamson, B.; Stockert, E.; Bander, N. H.; Jongeneel, V.; Gure, A. O.; Jager, D.; Jager, E.; Knuth, A.; Chen, Y.-T.; Old, L. J. :
Antigens recognized by autologous antibody in patients with renal-cell carcinoma. Int. J. Cancer 83: 456-464, 1999.
PubMed ID : 10508479

3. Zhang, Y.; Leaves, N. I.; Anderson, G. G.; Ponting, C. P.; Broxholme, J.; Holt, R.; Edser, P.; Bhattacharyya, S.; Dunham, A.; Adcock, I. M.; Pulleyn, L.; Barnes, P. J.; and 11 others :
Positional cloning of a quantitative trait locus on chromosome 13q14 that influences immunoglobulin E levels and asthma. Nature Genet. 34: 181-186, 2003.
PubMed ID : 12754510


その後の研究ですが、今のところPubMed検索では
PHF11とアトピーとを結びつけるわかりやすい説明は出ていません。

クロマチン(染色体)の再構成にかかわる分子である、
というだけで、これと密接に絡むSETDB2という分子とともに、
IgE産生細胞の機能に影響を及ぼすようです。

posted by atopymouse at 16:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎発症率とBCG接種痕の大きさは反比例する

アトピー性皮膚炎を含めてアレルギー疾患の発症は
先進国で非常に高い傾向があります。

この原因のひとつとして考えられているのが
「幼小児期に感染症や寄生虫の脅威にさらされていない」
ということです。

つまり、人間は本来、幼児期小児期に
それらの外敵による攻撃を学習して、
それをはねのけるだけの免疫系を整える能力を持ち、
その準備をしているという考え方です。

この考え方で行ったときに、
先進国において小児期に受ける数少ない、
しかし確実な免疫的侵襲は予防注射です。

予防注射はウイルスや細菌の死骸などを注射して、
身体に記憶させようと言うものです。
弱毒化、あるいは無毒化してあるとは言っても、
身体にとって毒物と言う認識を受けるものです。


これに対する免疫反応が十分に起こっていれば、
ある程度は感染と言う訓練をこなせている、と言う可能性があります。

そこで、BCGの予防接種の傷跡の大きさを見る
と言う調査がなされました。
つまり、接種痕が大きければ強い免疫反応が起こったであろう、
と言うことは、
正しい免疫訓練が行われた可能性が強いと言う考え方です。

もしもBCG接種痕が大きい人(免疫反応が強かった人)で、
アレルギーが起こりにくければそのアイデアが支持されます。

逆にもしもBCG接種痕が小さい人の方が
アレルギーが起こりにくければ、その考えはむしろまちがい、
予防接種においても免疫の過剰な反応が起こった人が
よりアレルギーに起こりやすいと言う話になります。

わかりにくいですね(笑)。

文献を見てみましょう。

Iran J Allergy Asthma Immunol. 2005 Dec;4(4):185-8.
A Study of Relation between BCG Scar and Atopy in Schoolchildren of Zanjan City.

2005年のイランの研究ですね。

この研究では子供1000人でBCGの接種痕を調べています。
137, 121 and 141 人がそれぞれ、
喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎でした。

結論からすると、
喘息とアトピー性皮膚炎の子供は
BCG接種痕が小さい傾向があった、
つまりBCG接種痕が大きければ大きいほど、
アトピー性皮膚炎になりにくいという結果でした。

アレルギー性皮膚炎は関係なかったそうです。

やっぱり関係あるんですね、
そして、こんな研究でも(失礼)、重大な意味を持つんですね。

posted by atopymouse at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
脱ステロイド療法


「脱ステロイド」の本来の意味とは、アトピー性皮膚炎の症状が改善傾向にないのに現在治療に使用中のステロイド外用剤を中止して、ステロイド外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする方法のことである(そのため、症状が改善してきたためステロイド外用剤を中止して経過をみるという行為は、「脱ステロイド」と称するのは不適切であろう)。
ステロイド外用剤は非常に高い有効性を持つ薬剤であるが、特に重症例では正しく医師の指導の下に使用していても十分に症状を抑えられない例や、長期の連用により皮膚萎縮、接触性皮膚炎、二次感染といった副作用をきたす例が存在する[18](ステロイド皮膚症の項参照)。 このような症例において副作用から脱却したり、ほかの治療法を模索するといった過程で脱ステロイド療法が行われることがあり、実際にそのようなケースに限ってはステロイド剤の中止が有効であったという報告もある。
しかし当然ながら、このような治療法に踏み切るためには、現在のステロイド外用剤による治療が効果をもたらしていないのかを慎重に判断する必要がある。

一方で「脱ステロイド」という言葉がアトピービジネスにおいて多々使用されることがある。その理由であるが、アトピービジネスは、他の科学根拠のない代替療法を勧めるため、「ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎を悪化させる」「ステロイド外用剤のリバウンドが続いている」「ステロイドを使用した年月に比例して治療に時間がかかる」「病変部から<毒>が排出されているので湿疹は好転反応である」などの独自理論を説明し、ステロイド剤に対して恐怖を煽り、ステロイド剤を中止させようとする場合が多いためである。
さらに自然主義的観点からプロトピックの使用も是としないことが多い(脱プロトピック)。当然これらの主張に医学的な根拠は無い。このような業者に脱ステロイド療法(およびそのビジネス独自の療法)を指示されて極端に悪化し、かゆみが強く夜も眠れないなど生活に支障をきたしたり、ひどい場合緊急入院という結果となる症例が多数発生し続けている。
少数ながら合併症による死亡例もある。また、アトピービジネスやマスコミによるステロイド剤の恐怖などの誇張した宣伝の結果、治療が難航している患者が自己判断で「脱ステロイド」を行い、症状が急激に悪化するという悲劇的な2次的被害もみられる。一時期、社会問題になったこともあった。

以上のように科学的根拠のないステロイド害悪論に基づいた「脱ステロイド」は危険であり、実施するに当たっては実際の病態がステロイドの副作用によってもたらされているのかを多数の医師とよく相談して判断した方が良い。その際、プロトピック軟膏やPUVA療法、シクロスポリンといった他の治療に切り替えながら様子をみることが多いので、それに関しても医師と十分に相談すべきである。

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