アトピー性皮膚炎、スキンバリアの回復に効果的な新薬TS-022の効果について

アトピー性皮膚炎、スキンバリアの回復に効果的な新薬TS-022の効果について


アトピー性皮膚炎に効果的な新薬として、以前の記事でタクロリムスを紹介した。
アトピー性皮膚炎治療にカルシニューリン阻害剤(タクロリムス)が効果的
タクロリムスの主な作用はステロイドと並んで暴走する免疫系の抑制にあるのだが、
異なる方向からのアトピー性皮膚炎治療法も模索されている。

ここではプロスタグランジン受容体拮抗薬のアトピー性皮膚炎改善効果について注目してみよう。
基本的には免疫云々ではない、「痒みを止める」ことに注目した薬剤開発だ。

ヨーロッパ薬理学会雑誌に発表された、日本の大正製薬の研究である。

Eur J Pharmacol. 2006 Nov 3
Effects of TS-022, a newly developed prostanoid DP(1) receptor agonist, on experimental pruritus, cutaneous barrier disruptions and atopic dermatitis in mice.

要約するとこうだ。

プロスタグランジンの一種であるプロスタグランジンD2(PGD2)が結合する受容体に
DP1受容体とDP2受容体があるが、このうち、DP1受容体に選択的に結合する物質を開発したところ、
この新薬でアトピー性皮膚炎モデルマウスの痒みを止め、結果としてスキンバリアをも回復させることが出来た。

というものだ。


プロスタグランジンとはなんであるか?まずはここから説明しよう。

プロスタグランジンは、細胞膜に存在するアラキドン酸から細胞内で合成される一群の生理活性物質で、
その機能は多彩なのだが、単純に言えば、痛みや発熱の原因物質であると言ってもよい。
炎症が起こっている場所で痛みや発熱を誘導する役割を担っているのがプロスタグランジン類だ。

だからこの機能を阻害したり、合成を阻害したりすることで痛みをとったり、解熱することができる。
風邪薬に入っている主成分がこれであり、アスピリンというのはその代表的なものである。
ちょっと覚えておいてほしいのが、ごくごく弱い痛みは痒みとして認識されるということだ。
(これは本論ではないので忘れていただいてもかまわない。)


さて、大正製薬が開発研究しているTS−022の正式名称は
TS-022, {4-[(1R, 2S, 3R, 5R)-5-Chloro-2-((S)-3-cyclohexyl-3-hydroxyprop-1-ynyl)-3-hydroxycyclopentyl] butylthio} acetic acid monohydrate
である。なんのこっちゃだよね。(笑)

近年,アトピー性皮膚炎は“痒みの病気”として認識される様になってきた.
2002年ごろから大正製薬チームが研究している一連の研究では、

アトピー性皮膚炎モデルマウスの痒みに対し、
あるいは、
スチールブラシでがしがしこすられて痒くなった野生型(ふつうの)マウスに対し、
プロスタグランジンD2 投与がマウスの掻破行動に強い抑制作用を示し、

『プロスタグランジンの合成作用を阻害する非ステロイド性抗炎症薬を投与すると掻破行動が増える。』

そういう結果が得られていた。


プロスタグランジンは本来、痛みや炎症の元となる物質であるから、
炎症の場所では悪役ではあっても良いことをするとは思えない、
そういう風に思われてきていたので、これはまったく逆の結果が示されているわけである。

この理由であるが、少なくともマウスで皮膚を痒がる実験系において、
PGD2は痒みの感覚を抑えることができる作用を持つものと思われる。
おそらく末梢神経系での痒みの認識が抑えられることによるのだろうが、メカニズムの詳細まではここではわからない。


さて、なぜDP1受容体選択的刺激剤であるTS-022にこだわるのかというと、
DP2受容体の方はアトピー性皮膚炎に良くない効果がある可能性があったからだ。



実はDP2受容体の方はTリンパ球の一種のTh2細胞に発現していて、
つまりアレルギー反応の方向に免疫を持っていくT細胞を刺激する効果がある。

花粉症においては活性化された肥満細胞から産生されるPGD2がTh2細胞に働きかけて
さらにアレルギー誘導の方向に持っていくということが推測されている。
したがって花粉症ではPGD2-DP2受容体の経路を経つことは効果的であると考えられていて、

『実際にプロスタグランジンの合成作用を阻害する非ステロイド性抗炎症薬を投与すると症状が良くなる。』

これはなんとも困ったもので、アトピー性皮膚炎においても炎症が陳旧化してTh1優位になれば
非ステロイド性抗炎症薬で炎症を抑えることも有効であるし、それで症状を抑えることも出来る。

この場合、炎症の場所で痒みの元の炎症物質として働いているのはPGE2ではないかと思われるが、
非ステロイド性抗炎症薬がその合成を抑えることで痒みが抑えられる。
しかし同時にPGD2の合成も抑えられるわけで、個々のところはどちらが勝っているのかよくわからない。

(非ステロイド性抗炎症薬をアトピー性皮膚炎に漫然と塗り続けることはたいへん危険であり、
 少なくとも皮膚科ではほとんど推奨されていないことは記しておく。
 詳細はまた後ほど。)


ということで、このTS-022を使うことでひょっとしたら人間の皮膚炎患者でも
Th2細胞を刺激する心配もなく痒みを抑えることができる、かも知れないわけだ。

この薬がさらに開発されて新しいアトピー性皮膚炎の治療の方向性が増えることを期待する。
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アトピー性皮膚炎と食物アレルギー(小児における)の重症度に、 サイトカイン関係の遺伝子の一塩基多型が及ぼす影響について

アトピー性皮膚炎と食物アレルギー(小児における)の重症度に、
サイトカイン関係の遺伝子の一塩基多型が及ぼす影響について

Pediatric Allergy and Immunology
Volume 17 Page 583 - December 2006
doi:10.1111/j.1399-3038.2006.00463.x
Volume 17 Issue 8

一塩基多型に関する数多くの研究から、アレルギー疾患と血中総IgE値の関連は指摘されて来たが、
アレルギー疾患発症に関してはいまだほとんど明らかにされていない。
特に一つの遺伝子がアトピー性疾患のどれかに絡むという報告は少ない。

この理由の一つに、アレルギー性疾患が遺伝子の問題だけでなく、
環境の問題も影響して発症するという事実が追求されていないことがある。
この論文では、遺伝子のSNPを環境問題と組み合わせて検討している。

ここではインターロイキン4、インターロイキン4受容体、Fcε受容体、STAT6の4遺伝子と、
抑制性のサイトカインであるインターロイキン10、IgE産生の関係を
食物アレルギー患者とアトピー性皮膚炎患者で検討している。

さらに、それに加えて環境因子として患者の生活態度、室内環境などについても検索している。


結果として、IL-10産生が低下するIL-10AAというSNPが血清IgE高値と関連すること
肝機能異常が食物アレルギー、アトピー性皮膚炎の両者と関連することが示唆されている。



以上のことから、アレルギー疾患発症にどのような因子がかかわるのかについては
一つの遺伝子に注目するのではなく、
様々な因子に関して検討、比較することが重要であることがわかる。

この場合のIL-10はまだ説明がつきやすいが、肝機能異常に関しては
これがアレルギー疾患の発症の基礎疾患としてあるのか、
それとも疾患による結果なのかについてはまだわからない。

この辺は動物実験での検討が必要であろう。
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アトピー性皮膚炎と乾癬とのそれぞれの皮膚病巣に存在する肥満細胞の違い

アトピー性皮膚炎と乾癬とのそれぞれの皮膚病巣に存在する肥満細胞の違い

アトピー性皮膚炎とは異なり、乾癬病巣に存在する肥満細胞は
トリプターゼ陽性でビクニン陰性である。

そういう報告だが、これはどういう意味を持つのだろうか?

The presence of tryptase-positive and bikunin-negative mast cells in psoriatic skin lesions
Journal Archives of Dermatological Research
Published online: 5 December 2006



トリプターゼとは肥満細胞が産生するセリンプロテアーゼで、炎症を起こす物質のひとつである。
蛋白分解酵素であるから過剰に存在すれば組織に良くないし、
さまざまなほかの分子を活性化することも考えられる。

一方、ビクニンという分子はそのトリプターゼの機能を阻害する物質である。
このビクニンは表皮細胞が産生することは知られていたが、
皮膚炎などの病巣で実際にどこで産生されるかはわかっていなかったので、
いくつかの皮膚の炎症病巣で検討したのが今回の結果である。

結果はシンプルで、アトピー性皮膚炎や慢性炎症では
肥満細胞はつねにトリプターゼとビクニンの両方を発現していた。
ところが乾癬病巣では肥満細胞はトリプターゼ陽性でビクニン陰性のものが多かったというのである。

このメカニズムを探るために筆者らはHMC-1という肥満細胞系列の細胞株で実験を行っている。
HMC-1ではビクニンの発現が常に認められているが、

この細胞の培養系に
Th2方のT細胞が産生するIL-4、つまりアレルギー方向に誘導するサイトカインを添加すると
ビクニンの発現が上昇したのに対し、

Th1型のT細胞が産生するIFN-γ、つまり炎症を誘導するサイトカインを添加すると
ビクニンの発現が抑えられたというのである。


乾癬は自己免疫疾患のひとつと考えられており、患者さんの免疫系はTh1優位な状態にある。
おそらくその免疫環境が乾癬の病巣における
特殊な肥満細胞の状態を生み出しているのであろうということであった。
これはすでに病態が治療によって改善した場合でも同様であることから、
乾癬の病気の本体は病巣を常にTh1有意に持っていこうとしているものであると思われた。



で、アトピー性皮膚炎の研究とどう関係するかというと、今回はあまり関係ない。
あくまでも乾癬の研究の出しに使われただけである。

お粗末さまでした。ぺこ <(_ _)>
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アトピー性皮膚炎の原因遺伝子変異

アトピー性皮膚炎の原因遺伝子変異がわかった!

そう報じられたのは今年、2006年の3月のことだった。
Nature Geneticsという科学誌に報じられたその原因遺伝子はフィラグリンというたんぱく質だった。
耳慣れないそのたんぱく質はいったい何なのか?

皮膚は、表皮に覆われている。
表皮は角質というたいへん強固なタンパク質の層でおおわれている。
この角質を作り出すのが表皮細胞で、他の臓器の上皮細胞が一層しか形成しないのに対し、表皮や消化管上部という体表面に面した上皮だけが多層の細胞から構成されていて、さらにそれらが構造変化して角質というものまでをも作り出す。

角質は、単純に言えばバリアである。
外敵の侵入を防ぐし、内部の水分や栄養分の漏出を防ぐ。

したがって、表皮がきちんと機能しないと外敵が簡単に入ってくるし、
水分も蒸発しやすくなる。


さて、このフィラグリン、角質を構成する蛋白の一種である。
これが先天的におかしくなると、完全におかしくなると
「先天性魚鱗癬」
という見た目にも臨床症状も悲惨で恐ろしい病気になる。
程度は様々であるが、言葉の通りに皮膚が乾燥した魚の肌のように、
ささくれ立ったうろこだらけのような外観になる。

この患者さんたちは当然ながらスキンバリアはぼろぼろで、
簡単に感染を繰り返すし、様々な障害を併発する。


ところがこの患者さん達の遺伝子変異を半分持つ人が
ことごとくアトピー性皮膚炎を発症しやすいことが
イギリスの学校の生徒のスクリーニングで明らかになった。

ある学校の生徒達を調べてアトピー性皮膚炎のある子とそうでない子で、
いくつかの遺伝子に注目して調べたところ、
フィラグリン遺伝子の片方だけに突然変異がある子供では
ことごとくアトピー性皮膚炎が発症していたというのだ。

彼らの表皮はぱっと見には異常がないのだが、
実は表皮構造が少し壊れていて、バリア機能が低下しているというのだ。


表皮がスキンバリアとしての機能を失うことで様々な外敵が体内に侵入しやすくなる。

花粉症のスギ花粉や、喘息患者のダニの死骸など、
アレルギーを起こす原因となる刺激物質をアレルゲンと呼ぶのだが、
スキンバリアが壊れると、皮膚からこれらのアレルゲンが侵入しやすくなる。

これがアレルギーを起こしやすくなり、アトピー性皮膚炎が起こるだろうというのだ。


もちろん、アトピー性皮膚炎を引き起こす人に必ずフィラグリンの異常があるわけでもない。
先進国でのみ好発するなど、アトピー性皮膚炎発症にかかわる因子は遺伝因子以外にも多数ある。

しかし、この発見はアトピー性皮膚炎の研究と治療にひとつの大きな道を示した画期的な研究である。


アトピー性皮膚炎が食物アレルギーに起因すると頑なに言い張ってきた人たちはその考えを改めねばならない。
アトピー性皮膚炎が免疫系の破綻で引き起こされ、皮膚症状は後から付いてくると言い張ってきた人たちも自己弁護の余地がない。


ごく一部の原因遺伝子の解明かもしれないが、これによってスキンバリアの障害が原因の一部であることが確認され、アトピー性皮膚炎患者のスキンバリア機能を調べ、それに対処することが大切であることが再認識されたわけである。

この分野での症状に応じた様々な治療法の開発が急ピッチで進むことを期待しよう。



Nature Genetics 38 ( 4 ), (Apr 2006)
一般的な皮膚疾患と関連する遺伝子多型

Nature Geneticsの4月号:フィラグリンをコードする遺伝子の変異が、
アトピー性疾患の発症リスクと関連していることが明らかに。
アトピーと言うと日本ではアトピー性皮膚炎をさすが、
アトピー性疾患には、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ)、アレルギー、喘息が含まれる。

フィラグリンの変異で尋常性魚鱗癬(さめ肌)という皮膚疾患になることは、Irwin McLeanたちによって既に報告されていた。
尋常性魚鱗癬の患者の多くがアトピー性皮膚炎にもかかっていることに気付いたMcLeanたちは患者以外でフィラグリンの変異がアトピー性皮膚炎の発症と関係するのかを調べた。

アトピー性皮膚炎とそれに併発する喘息の亜型の発症リスクとフィラグリンの機能喪失との関連性が確認された。
ただし、皮膚炎とは無関係に喘息を発症するリスクとフィラグリンの機能喪失には関連性が認められなかった。

先進国では、なんらかのアトピー性疾患の患者(アレルギーの患者)が人口の約20%を占めている。
研究対象の2種類のフィラグリン遺伝子多型は、ヨーロッパ系の9%に存在する。

これらのことから、フィラグリンの異常がアトピー疾患、特にアトピー性皮膚炎の発症にかかわりを持つことが推測された。

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研究してなくても学位取れて、教授になれるやつもいる・・・。

ちょっとびっくりなニュースです。

DM学位と言うのはDiploma Millというやつで、
正直、申請すれば取れるような学位ですね。

大学には行ってないけど学位がほしいと言う方が、
論文を書いて、審査料を払って学位をもらうと言うものです。

型どおりの論文ができていれば、
内容の優劣はあまり審査されること無く、学位が授与されます。
新興宗教の教祖様や、芸能関係で薀蓄豊かな方などがときどき申請されていますね。

名詞の肩書き程度の代物で、
教授や助教授の地位に着くものが得るものではないと思っていたのですが
どうやら一部の教授はこれを利用していたようです。

そりゃないでしょ・・・。

こういう人は怒り心頭だよね。(爆)



文科省 DM学位、注意喚起 全大学に公認リスト配布

2月18日8時1分配信 産経新聞

 社会的に通用しない学位を販売する学位商法問題で、
文部科学省が全国の国公私立大学に対し、
教職員採用などにあたってディプロマ・ミル(学位工場=DM)の“学位”取得者に
注意するよう呼び掛けたことが分かった。

DM問題が注目された昨年以降、文科省が注意喚起したのは初めて。
国内の国立や私立大の教授らがDMの学位を取得していたことが指摘されており、
高等教育の質維持のため文科省が対策に乗り出した。

 文科省高等教育局は今月14日、
全国の公立大学関係者が集まった公立大学協会理事会の席で、
DMの学位は高等教育の質を落とす可能性があるとし、
人事採用などにあたり注意が必要だと指摘。
DMをチェックする際に参考となるホームページ(HP)アドレスのリストを配布した。

 同局は昨年12月に開かれた国立大学協会の臨時学長等懇談会と、
今年1月に全国の私学関係者を集めた「学校法人の運営等に関する協議会」の席でも、
同様の説明をしてリストを配布しており、全国の国公私立大学への注意喚起を終えた。

 リストは、米政府公認の認定団体「全米高等教育機関基準認定協議会」(CHEA)や、
欧州の学位などについて情報提供する「ヨーロッパ情報センターネットワーク」(ENIC)などの
HPアドレスが記載されている。

 これらのHPは、検索機能を使って、
各国政府が正統と認めた高等教育機関名を確認することができ、
海外の安全な大学を紹介する「ホワイトリスト」といえる。

 同局は「リストに載っていないからといってDMとは認定できないが、
掲載されていないものについてはより入念な情報収集を要する」としている。

 文科省は平成16年に、外部の有識者会議からDMに関する報告を受けていたが、
具体的なDM対策はほとんど行っていなかった。
伊吹文明文科相は一連の報道を受けて昨年12月、
「国立大学の教授が外国の実体のない大学の学位を経歴、
肩書として使っているなら注意しなければならない」との見解を示していた。

最終更新:2月18日8時1分
産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070218-00000001-san-soci
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タグ:学位
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花粉症が前倒しで始まりました。

花粉症が前倒しで始まりました。

アトピー性皮膚炎ではないのですが、ちょっと季節ものの話題で花粉症です。
花粉症は、これこそアレルギーの典型です。

アトピー性皮膚炎同様に、先進国でのみ大きな問題となります。

その点は、昔の日本にも杉がたくさんあったにもかかわらず、
発展途上国だった、と言うか第二次世界大戦以前にはありませんでした。
(日光東照宮の杉木立は樹齢500年以上です。)

1960年代の子供の絵本には
「すぎでっぽう」
なる遊び方が乗っていました。

花粉のびっしり付いた杉の枝を折ってきて、
あいてめがけて花粉をふりつけると言う物です。
相手の顔がまっ黄色になったのを見て笑います。


お、おそろしい・・・。(^^;)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070217-00000000-san-soci

近ごろ目立つマスク姿 風邪? いや花粉かも 暖冬余波…早くも飛散

2月17日8時1分配信 産経新聞

 記録的な暖冬は、スギ花粉の飛散時期にも影響を与え、
マスクをつけて外出する人々の姿が目立ち始めた。

専門家によれば、今年は例年に比べ、花粉の総飛散量は少ないが、
飛散開始時期は半月ほど早いという。

花粉をシャットアウトするマスクの売れ行きも好調で、
花粉症対策も前倒しとなっている。

 東邦大学薬学部の佐橋紀男客員教授(花粉学)によると、
花粉の飛散は地域によって差があるが、
1月1日から毎日の最高気温の積算が300度〜450度を超えた時期に始まり、
南関東では400度前後で飛び始める。

過去20年間のデータでは、南関東の平均飛散開始日は2月14日前後。
だが、暖冬の今年は千葉県船橋市で2月5日に花粉の飛散が確認された。

 花粉は最高気温が15度を超えると飛び始めるとされ、
都心では1月下旬には15度を上回る日が出始め、スギの花の開花も早まっていた。

 一方、昨夏は日照時間が平年の半分ほどと短かったため、
花粉の「もと」となる雄花のつぼみのつきが悪かったことから、
花粉の総飛散量は平年の半分にも満たないと予想されている。

 佐橋教授によれば、花粉の飛散開始が早まったことで、
南関東では3月下旬ごろから飛散は終了し始めるという。

 日本気象協会(東京都豊島区)によると、花粉は日本海に低気圧があり、
南から暖かい空気が流れ込み、気温が上昇する日に強風に乗って飛散しやすい。
雨上がりの翌日で、よく晴れた、乾燥した日にも注意が必要としている。

 花粉は飛散開始日より前に微量の飛散が始まっており、
花粉症は吸い込んだ花粉がある許容量を超えると発症する。
同協会では「吸い込む花粉量を少しでも減らすよう、早い時期からの予防が大切」と呼びかけている。

 花粉の飛散が早まっていることで、花粉症対策商品の売れ行きも早い。
花粉専用のマスクを販売するユニ・チャーム広報は
「2月初旬の段階で、昨年と比べ約2割増しで売れている」と話している。

最終更新:2月17日8時1分
産経新聞
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アトピー性皮膚炎(小児型)治療にカルシニューリン阻害剤(タクロリムス)が効果的

アトピー性皮膚炎(小児型)治療にカルシニューリン阻害剤(タクロリムス)が効果的

アトピー性皮膚炎の第一選択はこれまで長い間ステロイドであった。
しかしステロイドによるアトピー性皮膚炎には患者側の警戒心がものすごく、
(これにはアトピービジネスという民間療法で儲けてやろうと言う人の立てた風評による影響が少なからずある。)
特に小児の治療には頑なに拒否する母親の存在がしばしば大きな問題となる。

また、実際に顔などの皮膚の薄い部分に強力なステロイドを長期連用すると
アトロフィー(皮膚が薄く空けた様になる。)という副作用が起こることは知られていて、
顔への長期連用には問題があった。

それらの問題すべてに対しての救世主ともいえる薬剤がタクロリムスを始めとするカルシニューリン阻害剤である。
この薬はもともと茨城県の土壌細菌から発見された物質で、
免疫抑制作用の効果の高さから、移植医療において画期的な効果を発揮してきた。
近年、様々な臓器の移植治療が発達したのはこの薬剤の発見と開発に負うところが大きい。


その薬剤を皮膚に塗る薬として開発されたのがタクロリムスである。
免疫抑制作用ということから当初は自己免疫疾患の局所治療法法として期待されたものが、
アトピー性皮膚炎においても著効を発揮すること、
ステロイド剤で問題となる顔面皮膚のアトロフィーが起こりにくいことなどから、
小児の顔面に使うための(大人の顔も)新薬として使われ始めたのが1999年ごろであろうか。

この論文はそんなタクロリムスの効果について、改めて評価をしたものである。

Am J Clin Dermatol. 2005;6(2):65-77.
Safety and efficacy of topical calcineurin inhibitors in the treatment of childhood atopic



免疫抑制作用を有するカルシニューリン阻害剤だが、
マウスに大量投与するとリンパ腫などを引き起こす頻度があがることが知られている。

これは免疫抑制によって悪性新生物の免疫機構による排除がうまく行かないことが原因のひとつと思われるが、
カルシニューリンそのものの作用かどうかについての議論も決着を見たわけではない。

そういう情報を耳にして「これを使うと癌になる」と騒ぎ立てる人がいるが、
これもマウスの投与量を考えると、塗り薬でその量に達しようとすれば
朝から晩まで24時間タクロリムスろーしょん風呂にどっぷり漬かり続ける生活をしても
数十年で発症するかどうかというところだろう。

というのも、この論文でも報告されているが、皮膚に塗った後の血中濃度は対して高くならないし、
すみやかに正常に復帰する。

また、今回も皮膚のアトロフィーのような強力なステロイドを連用した際の副作用はない。


ただしこの薬を用いる点で唯一の問題となるのがぬってすぐに感じるひりひり感、灼熱感である。
これに関してはまだ推測と実験検証の域を出ていないが、表皮と真皮に来ている末梢神経の
神経伝達物質が一気に放出される副作用がこの薬にはあるためではないかと考えられている。

そのこと自体に副作用はないし、神経伝達物質が枯渇してしまえば問題ないので、
最初の3日間ぐらいを乗り切ることができればあとは副作用も感じられない。

神経伝達物質が放出されて枯渇しても大丈夫かということだが、
これを使用した後で感覚障害が出たという話はこれまでのところはない。
(使用開始7年なので、10年以上使ったら問題がないのか保証できるかと聞かれればそれは保証不可能だが、
わずかに上昇した血中濃度がすぐに下がること、感覚障害や動物実験での末梢神経障害の報告はないことから
確率は非常に低いと思われる。)


ということで、このカルシニューリン阻害剤、アトピー性皮膚炎の治療薬としてたいへん期待できるものである。
しかし痒みや免疫系の抑制ということであればステロイド剤外用薬の方が強力なので
極めて症状の強い患者やその箇所にはステロイド剤で痒みを抑え、
症状が落ち着いてからカルシニューリン阻害剤に徐々に切り替える。

落ち着いてきたらカルシニューリン阻害剤も間隔をあけて離脱を図る。

再燃した場合はそのとこの状況の応じてステロイド剤、またはカルシニューリン阻害剤を使うという
症状に応じた使用方法が期待される。
その点においても、初期治療の場合、再燃の場合、患者は経験の豊富な皮膚科医の指導に従うべきで、
保存しておいた薬剤を自分の判断で適当に使うということは出来るだけ避けるべきである。
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アトピー性皮膚炎患者の末梢血T細胞の産生するサイトカインについて

アトピー性皮膚炎患者の末梢血T細胞の産生するサイトカインについて

アトピー性皮膚炎はアレルギー性疾患のひとつだといわれている。
実際に先進諸国で近年と見に増加傾向にあること、診断基準に免疫グロブリンEというアレルギーのときに病態の主役となる免疫グロブリンが増えていること、
さらには何らかのアトピー素因(アレルギー性鼻炎、喘息などのアレルギー性疾患の既往があること)があることが含まれていることもある。

「ほんとうにアレルギー疾患であるならばアレルギー傾向が免疫自体に存在するはずである。」

これは免疫学者の意見である。臨床家のそれではない。(笑)

「アレルギーに含まれる疾患ならば免疫細胞自体に異常があるべきで、そうでないものが原因で二次的に免疫系がアレルギーのような様相を呈するのであればそれはアレルギーではない。
アトピー性皮膚炎のような定義のあやしい病気はアレルギー研究の対象としてはいけない。」

とまで言われる。しかし現実には先進諸国の10〜20%の乳幼児がこの疾患に悩まされているし、
実際にIgEも上昇するし、肥満細胞も増えるし、ヒスタミンなどの痒み物質を放出するし、その引き金はアレルゲン特異的なIgEによる部分が少なからずあるだろうことは自明である。
そう考えると、アトピー性皮膚炎をアレルギー研究のひとつの柱としてしっかりと見据えていくことは必要であろう。

さて、本論の論文である。

Eur J Pediatr. 2006 Nov 21
Intracellular production of IL-2, IL-4, IFN-gamma, and TNF-alpha by peripheral blood CD3(+) and CD4 (+) T cells in children with atopic dermatitis.

ここでは、アトピー性皮膚炎と診断された患者の血液中を流れるCD4陽性Tリンパ球のサイトカイン産生能を調べている。
Tリンパ球というのは免疫細胞の主役のひとつで、体に入ってきた異物や体内で出来た異物を自己と区別して攻撃し、
あるいは攻撃するように指令を出す細胞である。その指令は攻撃開始命令であることもあれば中止命令であることもある。

CD4というのはT細胞などの細胞表面に発現している分子で、抗原提示細胞に提示された抗原を認識するときに使われる分子である。
(ややこしいことは説明しない。というかこの時点で理解をあきらめる人の方が多いかもしれないね。^^;)
この分子が発現している細胞は直接攻撃するのではなく、指令を出す細胞だと思ってもらえばいい。ヘルパーT細胞とも呼ばれるのでTh細胞と書くこともある。

そのTh細胞が出す指令にはどんな種類があるのだろうか?

ここでもややこしい説明はスキップするが、有名なTh細胞の分類方法に、その指令を出す出し方で分類するというのがあり、
Th1とTh2に分けることができる。(Th0とか、最近はTh17なんて分類もあるがそれは後の機会に。)
この内、アレルギー反応が優位に働くようにに体の免疫系をそちらの方向に持っていくのにがんばるのがTh2細胞である。

Th2細胞はIL-4、IL-5などのサイトカインという物質を分泌して抗体産生細胞であるB細胞に命令する。
この命令は、「IgEをたくさん作って外敵排除に備えなさい!」というものである。
この場合の外敵排除は古来、寄生虫であった。

たとえばIgEで刺激を受けた肥満細胞はヒスタミンを放出する。これにより、食いついたダニなどの寄生虫が外れやすくなることがわかっている。
大阪大学の研究室には肥満細胞欠損マウスと正常なマウスをちょっときたなめのところで飼育して、食いついたダニの量を重さで比較して、
「肥満細胞が欠損したマウスにはたくさんのダニが食いついていた」
という報告をしているぐらい、肥満細胞は寄生虫の排除に効果的なのである。

ということで、寄生虫などが体内に食いついたときにTh2細胞が活発化し、上述のサイトカインが放出されるわけだ。
しかし現代の先進国では衛生環境の向上によりダニなどの寄生虫に接する機会が極端に減った。
その代わり標的にされてしまったのが花粉などのアレルゲンと呼ばれる抗原である。

スギ花粉などというものは本来、アレルギーのような症状を起こす物質であるとは考えられていなかった。
たとえば日光東照宮に行くと樹齢500年なんて杉が林立していて花粉症のヒトにとって見れば春先は絶対に行きたくない観光地かもしれないが、
日本で初めてすぎ花粉症が報告されたのは1960年代の半ばであり、それ以前にはスギ花粉を頭が黄色くなるほど浴びるような地域に置いてさえも花粉症の報告はない。

このことから、攻撃する相手を失った免疫系が花粉を仮想寄生虫侵入として攻撃してしまうのが花粉症の本体であるともいえよう。
(異論はあるのだが、私自身はこれが最もリーズナブルな感じがしている。)


なんだか脱線してしまったが、つまり肥満細胞を刺激するようなTh2へシフトした免疫系の異常がアトピー性皮膚炎の患者さんの血液中のTリンパ球に生じているかどうかの確認が行われたわけだ。
で、この論文に置いて結果はnegative、つまり病気でない人と比べてもCD4陽性T細胞の性質に差はなかったというのである。
このことが何を示すかというと、アトピー性皮膚炎の免疫系の主役(Tリンパ球)にはアレルギーに向かうような本質的な異常は存在しない。
ということが推測されたわけだ。

もちろん、この場合問題はある。
患者から採取されたTリンパ球は、すでに何らかの反応を起こした後で、本来の異常が見えない状態であるという可能性である。
それともうひとつ、試験管内での反応では異常が見えないが、体の中の環境では異常な振る舞いをするかもしれないということである。

まあ、そのような反論や揚げ足取りならいくらでもできるのだが、この論文から受ける印象は
アトピー性皮膚炎発症の本体は免疫系のリンパ球そのものにあるのではなく、免疫系の別の細胞か、非免疫系の細胞にある、ということだ。
posted by atopymouse at 21:47 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

肥満細胞がIL-18前駆体を切断して活性型IL-18断片を作る

肥満細胞がIL-18前駆体を切断して活性型IL-18断片を作る

アトピー性皮膚炎がらみの今回の論文は日本からの発表である。

兵庫医科大学の中西らの研究により、IL-18というサイトカインがIgE産生を亢進させることが、
そしてそのIL-18の前駆体は表皮細胞(ケラチノサイト)から産生されることがわかっていた。
実際にIL-18を恒常的に皮膚で発現させたマウスではアトピー性皮膚炎類似の症状が出ることがわかっている。

このIL-18前駆体を活性化させる仕組みがアレルギーの主役である肥満細胞にも備わっているという話である。

J Immunol. 2006 Dec 15;177(12):8315-9. Links
Human Mast Cell Chymase Cleaves Pro-IL-18 and Generates a Novel and Biologically Active IL-18 Fragment.


そもそも表皮で産生されるIL-18前駆体はそのままでは活性を持たない。
同じく表皮が産生するカスパーゼ1という蛋白分解酵素で
ある部分で切断されることで機能を発揮する成熟体となる。

このIL-18に限らず、サイトカインなどの分泌因子には
このような段階を踏んだ機能発現プロセスを取る分子が少なくない。

それは効果的な分子であるほど二重三重の防御システムとして大切だからだ。
(ミサイル発射スイッチは複数の管理者の了解の下でボタンが押される。)


それでカスパーセ1を欠損したマウスを作ってみたところ、
驚いたことに皮膚でIL-18の活性が確認された。
カスパーゼ以外にIL-18を活性化するメカニズムが存在するということである。

そこでそれが何かを探ってみたところ、肥満細胞が産生するキマーゼという酵素がその役割を果たすことがわかった。
このキマーゼがIL-18前駆体を切断する場所はカスパーゼとは異なるのであるが、
ともかく活性を持つIL-18を産生できるということであった。


肥満細胞はアレルゲン特異的なIgEによって活性化されてさまざまな分子を放出する。
IgE産生を刺激するのは皮膚が産生するIL-18である。
そのIL-18を成熟型へと誘導できる蛋白分解酵素は皮膚と肥満細胞の両方が産生できる。

どっちが卵でどっちがニワトリなんだかわからないが、すくなくとも肥満細胞が暴走を始めると
IL-18成熟のスイッチが入り、IgE産生がさらに誘導されて、
ということで活性化のスパイラルに陥る路はこれでひとつ明らかになった。

次に必要なのはこの正のスパイラルを負にむけて転換するメカニズムの解明であろう。
それはそのままアトピー性皮膚炎の治療に結びつくと考えることも出来るのであるから。


ちなみに、この流れの中にはT細胞などのリンパ球の存在は必要ない。
posted by atopymouse at 16:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

アトピー性皮膚炎でのプレバイオティクスとプロバイオティクスの効果について

アトピー性皮膚炎でのプレバイオティクスとプロバイオティクスの効果について

プレバイオティクスとかプロバイオティクスという言葉はご存知だろうか?

バイオティクスは微生物の事を指す。
人間の体にはものすごい数の細菌が共生している。
基本的には彼らは無害で、ときには非常に有益な存在である。
たとえば皮膚表面にしても消化管内にしても山ほどの細菌が存在しており
(便の20〜30%は細菌の死骸と考えても良い。)
そこの環境を適性に保っている。

彼ら無害な細菌や有益な細菌のことを常在細菌と呼ぶが、
彼らがいてくれることで有毒な最近が来ても死滅するような状態が保たれていることが多い。

腸管、皮膚ももちろんだが、わかりやすいのは女性の膣の中で
あそこにはデーデルライン桿菌という乳酸菌が棲んでいて膣の中の環境を強い酸性に保っている。
そのおかげで細菌感染から守られているわけだ。


さて、プレバイオティクスとかプロバイオティクスというのは
そういう常在細菌の状態をコントロールする食物などのことで、
プレバイオティクスといえば食物繊維とかオリゴ糖とかの食べ物を由来とする成分で、
腸管(主に大腸)で作用することで腸管内に住む微生物のバランスを整えるものだ。 

プロバイオティクスは生きた菌そのもののことで、乳製品などに含まれるビフィズス菌や乳酸菌、
あるいはそれらを含む食品そのものの事を指す。

ちなみにシンバイオティクスとはそれら二つを併せ持つもので、
オリゴ糖+ビフィズス菌みたいなものである。


さて、ようやく本題。(笑)
以下の論文に付いてである。

J Pediatr (Rio J). 2006 November/December;82(5 Suppl):S189-S197.
The role of probiotics and prebiotics in pediatric practice.

最近10年間でこのプレバイオティクスとかプロバイオティクスという分野に関して科学的な研究がかなり進んできた。
小児科領域において実際にプレバイオティクスやプロバイオティクスを実用した場合の成果であるが、

確かにこれらの製品は腸内環境を改善することがわかった。
すなわち、これらの細菌による発酵の結果として、腸内のpHを低下させ、
腸内のみならず全身における炎症反応を制御することができるというのである。

臨床投与実験と報告の統合的解析(メタアナリシス)によれば
急性の下痢や抗生物質で引き起こされる下痢の発症予防と罹患期間の短縮にプロバイオティクスは有効であった。
しかしながら、コストパフォーマンスなどのそれらの効果に関してきちんと調べたものはない。

予備的な実験で興味深かったのはアトピー性皮膚炎発症とこれらのプロバイオティクスとの関係である。
プレバイオティクスをミルクや離乳食に加えた場合、腸管の常在細菌のバランスが変わることが確認された。
さらに、プレバイオティクスを与えずにミルクだけで育てた場合に比べて、
その集団でのアトピー性皮膚炎の発症率は低かったということである。


アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が先進諸国の問題であること、
綺麗過ぎる衛生環境と寄生虫の排除が免疫の暴走を生んで
アレルギー発症につながっている可能性が高いことなどから、
乳幼児期の様々な細菌感染や寄生虫による攻撃が
本来の人間の免疫機構をきちんと働かせるために必要であることが言われている。

とは言うものの、細菌感染はときとして死に至ることもあり、もろ手を挙げて受け入れるものではない。
ここでプレ、あるいはプロバイオティクスがその役割の一端を担うことが出来るのであれば
(メカニズムは同じかどうかわからないが)
安全な細菌との共生ということで、もっと幅広く取り入れられてもよい予防方法かもしれない。

たとえばアトピー性皮膚炎を発症するマウスにプレバイオティクスを摂取させて
その症状発現コントロールを分子レベル、細胞レベルで観察するという研究もどんどんなされるべきであろう。
posted by atopymouse at 17:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
脱ステロイド療法


「脱ステロイド」の本来の意味とは、アトピー性皮膚炎の症状が改善傾向にないのに現在治療に使用中のステロイド外用剤を中止して、ステロイド外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする方法のことである(そのため、症状が改善してきたためステロイド外用剤を中止して経過をみるという行為は、「脱ステロイド」と称するのは不適切であろう)。
ステロイド外用剤は非常に高い有効性を持つ薬剤であるが、特に重症例では正しく医師の指導の下に使用していても十分に症状を抑えられない例や、長期の連用により皮膚萎縮、接触性皮膚炎、二次感染といった副作用をきたす例が存在する[18](ステロイド皮膚症の項参照)。 このような症例において副作用から脱却したり、ほかの治療法を模索するといった過程で脱ステロイド療法が行われることがあり、実際にそのようなケースに限ってはステロイド剤の中止が有効であったという報告もある。
しかし当然ながら、このような治療法に踏み切るためには、現在のステロイド外用剤による治療が効果をもたらしていないのかを慎重に判断する必要がある。

一方で「脱ステロイド」という言葉がアトピービジネスにおいて多々使用されることがある。その理由であるが、アトピービジネスは、他の科学根拠のない代替療法を勧めるため、「ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎を悪化させる」「ステロイド外用剤のリバウンドが続いている」「ステロイドを使用した年月に比例して治療に時間がかかる」「病変部から<毒>が排出されているので湿疹は好転反応である」などの独自理論を説明し、ステロイド剤に対して恐怖を煽り、ステロイド剤を中止させようとする場合が多いためである。
さらに自然主義的観点からプロトピックの使用も是としないことが多い(脱プロトピック)。当然これらの主張に医学的な根拠は無い。このような業者に脱ステロイド療法(およびそのビジネス独自の療法)を指示されて極端に悪化し、かゆみが強く夜も眠れないなど生活に支障をきたしたり、ひどい場合緊急入院という結果となる症例が多数発生し続けている。
少数ながら合併症による死亡例もある。また、アトピービジネスやマスコミによるステロイド剤の恐怖などの誇張した宣伝の結果、治療が難航している患者が自己判断で「脱ステロイド」を行い、症状が急激に悪化するという悲劇的な2次的被害もみられる。一時期、社会問題になったこともあった。

以上のように科学的根拠のないステロイド害悪論に基づいた「脱ステロイド」は危険であり、実施するに当たっては実際の病態がステロイドの副作用によってもたらされているのかを多数の医師とよく相談して判断した方が良い。その際、プロトピック軟膏やPUVA療法、シクロスポリンといった他の治療に切り替えながら様子をみることが多いので、それに関しても医師と十分に相談すべきである。

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